2005年09月24日

サプリ化する文学たち「漢方小説」

 タイトル通り、漢方についての小説です。でも読後感は漢方みたいなコッテリ濃ゆ〜い滋味のあるものじゃなくて、サラサラしたテクスチャーで飲み易い、いや読み易い。タイトルもひねりがないけど逆にわかり易いわけだし、こりゃどっちかというとお手軽な“サプリ小説”っすよ。

 何がお手軽って、漢方の成立や意味づけとか用語説明までバッチリなんですよ。実はくらぽー、現在健康のためと称して気功太極拳を習いに行ってるんですが、そこで習った型とかの意味がこの本でよくわかる。

 しかし、読み終わった後に本当に面白かったかと言えば、大して面白くない気が…。内容が薄いんです。本としても薄いんだけど。ちょっとした例えなんか言葉遣いはひねりがあって面白いんだけど。自分のテーマとして作品のテーマを明文化しちゃってるし。あそこ削るだけでも締まるんだけどなあ。なんで賞までもらってるのか。

 漢方の説明を取っちゃえば、何のことはない、自分の心と体は密接な関係があることを知る、勿論知ることは大事なんですけど、それだけ。何だか薬局にある漢方を知ろうみたいなパンフレットでも十分同じ内容でいけます。

 全国の漢方組合(あるのかどうかは別として)にはとても嬉しい本でしょうが、どことなくツ○ラとかの陰謀かと思ったりしました(笑

 漢方を処方してくれる先生にときめいてみたり、元カレの結婚に傷ついてみたりする主人公や、周りの人物も一癖あって楽しいのだけど、何だかあっさりしすぎ。もうちょっと長いスパンの話で書けなかっただろうかと思いますが、もともとシナリオ畑の方らしいので長編は期待するもんじゃないでしょう。それとも最近の人間関係がこんなもんなのか?

 ま、それも漢方のようにゴチャゴチャをじっくり煎じた上澄みのみたいなものだと思えばいいんでしょうか。

 でも、オチとして実際こういう小説や人間関係に慣れてる人はコッテリ漢方じゃなくてライトなサプリに行っちゃうだろう、という矛盾がありそうな気がします。文学としての効用も、効いてるような気もするし効いてないような気もする、まさしくサプリです。

 今までの記事中で一番評価低くなりますが、漢方をかじってみたい人には下手な入門書より絶対オススメ。それでもわからなかったら、くらぽーまでご一報下さい。苦情受け付けます。

 でも主人公とは友達になれそうな気がする。同じ匂いがする…漢方の匂いか!


記憶に残る一言:
「病んでるのは昔からじゃん」

「『精神があさっての方向に向いてる』」

「「今は元気だよ、薬飲んでるから」、でも病気が良くなったら、また自分の力だけで生きていかなくてはいけない。そしてそれは厳しい。」

「『アサッテでもシアサッテでも、いいけどさ。好きなコに説教しちゃダメだよ』」

「自らの精神が災厄を招いていることは、そろそろ認める。(略)しかし……。自分の中の何かがそれに反発する。」

「日本の男ってイジメるか、イジメられるかのどっちかじゃん。対等が嫌いなんだよね」

「やっぱどっか壊れてるよ、おまえ」

「私のシーソーも、(略)深いところに落ちる時が、いつか来るかもしれない。どんな深さも、変化も、恐れず受け止められる自分になれたらと思う。」


posted by くらぽー at 00:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読んだ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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